| ≪地方道州制について≫ |
|
齋藤県議 |
地方道州制についてだが、国は地方分権改革推進委員会の基本的な考え方では、「自治行政権、自治立法権、自治財政権を有する完全自治体としての地方政府」を提案している。第2次勧告では自治立法権、自治行政権については「義務付け・枠付け」を見直すとしている。実際に見直されれば、非常に充実したものになるものと思う。こうした検討は地方公共団体として概ね完結する形として道州制をにらんでいるからに他ならないと考える。自民党、政府共に09年度に通常国会成立を考えている。
道州制ビジョン懇談会(政府)堺屋委員
道州制基本法制定委員会(自民党)久世参与
地方分権と道州制について、道州制は政府主導で導入検討が進んでいると思うが、現時点での政府の道州制ビジョン懇談会の検討における道州制導入の理念目的について総論としてどのように考えているか。
|
|
泉田知事 |
道州制は、我が国の統治機構全体の改革であって、国と地方の役割分担を根本的に見直した上で、地域主権を実現させるべきで、そのためには権限と財源が地方に移譲され、施策の優先順位を地方自らが決定できる仕組みを構築することが必要と考えている。昨年3月に公表された「道州制ビジョン懇談会」の中間報告では、地域相互の善政競争による日本全体の活性化等を目的として「地域主権型道州制」を打ち立てるとしており、この点に関しては一定の評価ができるものと考えている。
|
|
齋藤県議 |
既に世界どの国よりも債務におけるGDP比は突出しており、固定費の合算効果や行革効果に伴う費用減額の観点から財政的に道州制導入が寄与することは想像に難しくない。道州制は国家的な見地から不可避の状況と考える。現行の政府議論には諸手を挙げて賛成しがたいが、知事は道州制に必然性を認めているのか。
|
|
泉田知事 |
今ほどの答弁申し上げたように、目指すべき道州制は、何よりも地域主権を実現させるものであるべきだ。結果として、国と地方の「二重行政」の解消など簡素、効率的な政府の実現も期待されるが、道州制が単なる行財政の効率化を目的としたものであってはならないと考えている。
|
|
齋藤県議 |
世界には国家制度として連邦制を最初に成立させたアメリカ合衆国をはじめ、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル、ドイツ、マレーシア、ナイジェリアの各連邦共和国とベネズエラ、スイス、オーストリア、インドの共和国、ベルギー王国、パキスタン回教共和国など15カ国がある。連邦制を敷いている国は連邦制の定義が様々にあるが凡そ15カ国内外である。他に国名に連邦が表示されているミャンマー連邦、アラブ首長連邦、ミクロネシア連邦、コモロ・イスラム連邦共和国、エチオピア連邦共和国、ロシア連邦の6カ国があり計21カ国となる。一部には真の民主主義と地域主義を成就する制度として、道州制移行に際して連邦制を主張する意見もあるが、連邦制を我が国に導入する事についてはどう考えているか。
|
|
泉田知事 |
一口に連邦制国家といっても連邦と権限・権力の配分関係は多様であり、例えば、アメリカ型の連邦制は、州兵を持ち、司法分野の権限まで有する自主・独立性の高い体制だ。我が国にはなじみにくい部分もあると考えている。連邦制に近く、かつ単なる都道府県合併とは異なる道州制を目指していくべきではないか。
|
|
齋藤県議 |
国の財政的根拠による分散統治型の道州制移行は、地方議会人の一人として容認できない。
府県が合併・連合するような道州制であれば、施行するべきではない。権限や財政制度に、今までの如き体裁だけのものではない、根本的な改正がないままに府県が連合するような道州制に対する是非についてどう思うか。
|
|
泉田知事 |
国と地方の役割分担の根本的な見直しがなく規模が拡大するだけでは、今よりも自治が遠のくこととなるから「道州制」とは呼べない。単なる都道府県合併にはむしろ反対すべきだ。
|
|
齋藤県議 |
道州制における具体的な問題として、どのような地方自治構造を目指すかについては様々な議論がある。これまでの長い歴史や機能を考えると広域自治体と基礎自治体の二層制であるべきと考えるが、どうか。
|
|
泉田知事 |
昨年3月の政府の道州制ビジョン懇談会中間報告では、「国民生活に関する行政の責任は一義的には道州と基礎自治体が担う」と道州と基礎自治体の二層構造を前提としているが、県を廃止し国と基礎自治体で構成するいわゆる廃県置藩等の考え方もあると承認している。いずれにしても、まずは、道州制下における国と地方のあり方についての国民的な合意形成が優先されるべきものだ。
|
|
齋藤県議 |
現在の地方分権は分担でしかなく、本来の定義は、地方でやれるべきこと、地方でやれることの執行権を地方へ委ねることと考えるが、知事は地方分権の定義付けを概略的にどのように考えているか、知事の考える地方分権とは何か。
|
|
泉田知事 |
地方分権とは、「地域のことは地方公共団体が担い、住民が自らの責任に基づき決定する」ことができる社会を築くこと、すなわち、地域住民のニーズや地域の実情にあった行政サービスを自らの責任で決定していくことができるようにすることだ。
|
|
齋藤県議 |
地方主権を標榜する向きもあるが、主権は法制度の制限を受けることから連邦制でのみ担保されるものと考える。地方主権の実現には国の仕組みが変わらなければならず、現行の法案系下では地方に主権はないものと考えるが、どうか。
|
|
鶴巻知事政策局長 |
憲法に「地方自治の本旨」が規定され、平成12年の地方分権一括法により国と地方は対等・協力の関係とされているところだが、現実には地方の自由度・裁量度は様々な分野にわたり制限されており、地方に「主権」があるとは言えないものと考えている。
|
|
齋藤県議 |
現在の地方には自主権限はなく役割を分担しているに過ぎない。外交、司法といった国の所管・権限の範囲や国の役割分担をどのように考えているのか。
|
|
泉田知事 |
国の所管や役割分担は、外交、防衛等国家としての存立に関わる事務、通貨・通商政策等、全国的に統一して実施する必要のある政策、及びナショナルミニマムに関わる事項に限定するべきである。住民に身近な行政はできる限り地方自治体に委ねるべきだ。
|
|
齋藤県議 |
地方分権社会において県が一義的に担うべき業務の範囲、すなわち県の行政権限の範囲について、いかにあるべきか。
|
|
泉田知事 |
住民に身近な行政は基礎自治体である市町村ができる限り幅広く担い、市町村ができない広域的・専門的な行政課題への対応や、市町村の行政サービスが効率的に行われるようなサポートやコーディネートを行うのが役割であるべきと考えている。
|
|
齋藤県議 |
国の小出しの「権限委譲」と称するものが続いているが本格的な国から地方への権限委譲には程遠い。この流れをどのように考えるか。
|
|
泉田知事 |
議員ご指摘の通り、私もこれまでの間、本格的な国から地方への権限委譲が行われたとは言えないものと認識している。国の縦割り行政の中で、政官財いずれも日本全体の利益を考えられる体制ができていないことに起因しているものと考えられ、我が国のあり方をしっかりと見据え、国と地方の役割はいかにあるべきかという議論が必要だ。
|
|
齋藤県議 |
現段階における道州制提案では、国の出先機関を道州が分担するイメージが伝えられている。国の出先機関の見直しは、道州制におけるあるべき姿を示して行われるべきであり、なし崩し的に移行すべきではないと考えるが、道州制の前段階と考えられる出先機関の見直しについて、どのように考えるか。
|
|
泉田知事 |
道州制を前提とした議論をする前に、まずは、地域のことは地域で自己決定するという地方分権の本旨に沿い、国と地方の役割分担をしっかりと議論し、それに伴い必要な権限や財源の委譲を行うことが重要ではないか。その結果として国に残る機能が見直しを行うべきであり、国と地方の役割分担の見直しが不十分なまま、組織の見直しありきで進められている現在の議論では無理が生じるものと考える。
|
|
齋藤県議 |
地方分権改革の推進に当たっては国から地方の税源委譲を求めているが、「何をどの様に、何処までの範囲で」どこまでを求めるのか県民には分かりにくい。地方が保持すべき税目や税源委譲の範囲について、知事はどのようにあるべきと考えるか。
|
|
泉田知事 |
分権を推進するためには、地方自治体が自立できる税制とする必要があり、例えば、ドイツの共同税制のように、現在国税である所得税や法人税等の基幹税を共同税として地方税化し、地方が徴収した上で、外交や防衛等国が行うべき経費を国に納めるような制度を、道州制も視野に入れて検討することが必要ではないか。、組織の見直しありきで進められている現在の議論では無理が生じるものと考える。
|
|
齋藤県議 |
神奈川県の臨時特例企業税に対する違法判断をどのように受け止めているか。また、判決理由は「法人事業税等の趣旨に反する課税は許さない」、「地方税法は、法人事業税について欠損金の繰越し控除を認めている。臨時特例企業税は法の規定の目的や効果を阻害」としている。こ注意は「地方の裁定権の範囲」が論点となっているが臨時特例企業税は地方の裁定権の許容範囲に含まれるものであると考えられるがどうか。
|
|
泉田知事 |
臨時特例企業税についてだが、横浜地裁による判決については、現行制度における地方公共団体の課税自主権について、具体的な課題や問題点が明らかになったものと認識している。地方公共団体の課税自主権は、地方自治に不可欠の要素であり、地方の裁量権はより尊重されるべきと考えるが、神奈川県が控訴していることから、今後の司法の判断を見守りたい。
|
|
齋藤県議 |
地方分権改革の推進に当っては、税制委譲ではなく総論としての委譲すなわち税制委譲を求めるべきと考えるがどうか。
|
|
泉田知事 |
議員ご指摘の通り、地方分権改革の推進に当っては、単なる税制委譲ではなく、国から地方への課税権の委譲、すなわち税権委譲が必要ではないか。
|
|
齋藤県議 |
地方分権改革推進委員会では第三次勧告で自治財源権の提案がなされると聞く。税源委譲を通じた自治財源権の確立は、財政力に劣る地方においてナショナルミニマムの確保に支障をもたらす危険性がある。地方に格差が生じない地方交付税を軸とした現行の財政調整制度の継続が必要と考えるがどうか。
|
|
泉田知事 |
地方交付税は、どの地域でも一定の行政サービスを提供できる財源を保障するとともに、財政力の格差を調整する役割を果たしており、その機能は重要だが、総額や配分方法を国が決定するという点で問題がある。このため、当面は、現行の財政調整制度の機能を生かしつつ、その決定過程に地方の意向を反映できるよう、地方と国の協議の場を設けることが必要だ。将来的には、道州制を視野に入れて、さきほど答えた「共同税」とあわせて、地方間の財政調整の必要性を検討するべきではないかと考えている。
|
|
齋藤県議 |
身近な道州制論議では、圏域をどうするかという議論が県内でも容易に提案されている。道州制の枠組みは通常の経済圏及び生活圏そして歴史的通有性等の多くの諸条件を背景に議論があって然るべきだ。その上で我が県と県民にとっての将来的視点を確保された見解が望まれる。知事は圏域についていかなる所見があるか。
|
|
泉田知事 |
圏域は、議員ご指摘の通り、道州の役割等を踏まえ、社会経済活動の範囲、地理的特性や歴史文化等、様々な視点からの議論の下で決定されるべきである。道州制に対する共通認識が形成されていない現段階では、一県で道州を構成することも含めて、あらゆる可能性を排除せず隣県との連携や交流を深めていく必要がある。
|
|
齋藤県議 |
道州制の移行に向けては、県民論議が欠かせないが現時点で普遍的県民理解はないと考える。行政の各分野にも関連する問題であることから、県職員の間でも道州制に対する十分な検討と認識が必要であり、また、各市町村の認識も十分に聴取する必要があると思うが、今後どうのように取組んでいくのか。
|
|
鶴巻知事政策局長 |
未だ、道州制の理念目的に対する国民の共通認識が十分形成されていないと認識しているので、県議会のご意見を十分聞きながら、引き続き全国知事会様々な機会を通じて制度設計等について本県の考えを主張していく。また、これまでも県民の皆様や市町村との意見交換や情報提供に努めてきたところだが、庁内における意識共有も含めて引き続き取組んでまいりたい。
|