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<< 産経新聞 「Dr.斎藤の続・ニッポン健康診断」より >>
◆判断失調症◆
選挙戦の最中、暴力団の凶弾に射殺された伊藤市長の後継を決める選挙が終わった。大方の予想を覆して、元長崎市職員の田上氏が当選した。市長の娘婿である横尾氏を破っての勝利である。この選挙は多くの事を示唆していると思う。一つには、我が国では小説にさえ書かれなかった筋書きを背景にした選挙であったにも係わらず、極めて低い投票率であった事。情では動かされなかったという事か。
これほど市民を投票に駆り立てる事情は、無いと思えるのだが。次いで日本人の琴線を揺さぶると思われた家族愛を、容易に超えた審判結果である。志半ばで突然最期を迎えた亡義父の遺志を継ぎ、不退転の決意で臨んだ横尾氏の圧勝は、国民の大半が予想したと思う。従来の日本的情感ならば、そうなったに違いない。結果は『世襲批判に敗れた』と言う解説だが、本当にそうだったのだろうか。
田上氏の『伊東市長の後継は、共に仕事をした自分である』という、当たり前の主張が容認されたものと考える。誰が市政運営の舵取りに相応しいか、冷静な選択があったのではないか。何れにしても短い選挙戦が却って、地縁、血縁、知名度、話題性など従来の選択基準に惑わされずに済んだ大きな要因であったと思う。この選挙で、国民に冷静な判断が戻りつつあるものと思いたい。
診断− 判断失調症 軽快か?
平成19年4月12日 産経新聞掲載
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